d. 平衡状態の変化(南北構造)
暴走限界が何によって決まっているのかを考えるための準備として, ここでは 太陽定数が増大した場合における平衡状態のOLRと表面温度 の南北構造の変化の様子をまとめておく. 図 1 は, 実験 S1200, S1380, S1500, S1550, S1570 における 東西平均 OLR と東西平均表面温度の南北分布である. この図より以下のことがわかる.
- OLR 南北分布
入射放射量が増大すると OLR の南北分布は平坦化し, どの緯度においても 400 W/m2に漸近する.- 表面温度南北分布
OLR と同様に, 太陽定数が増大するに従い表面温度分布も平坦化し 南北温度差は減少する. 実験 S1200 における表面温度の南北差 は約 50K, S1380 では 45K, S1570 では 20 K である.以上の結果より, 太陽定数が増大すると大気の熱的な構造の 南北コントラストは減少する, と言うことができるだろう.
図 1: 平衡状態における地表面温度(K)とOLR(W/m2) の東西平均の南北分布.