2. モデルと設定

3 次元灰色大気構造の太陽定数依存性と暴走温室状態 2.b. モデル 3.a. 3次元世界でも暴走するか?

c. 計算の設定および実験のリスト

太陽定数 S の値として表1に挙げた値を与え, それぞれの場 合について 1000 日以上の積分を行なう. (SSR は全球平均入射フラックスでSSR=S/4  である.)

考える惑星は現在の地球と全く同じ軌道要素を持つものとして, 年平均・日平 均の日射分布を与えた続けた場合の計算を行なう. いわゆる perpetual annual mean run である. 以上の設定のもとで仮想的に太陽定数だけが増減することを考える. 従って, 与える入射放射南北分布は図 1 の曲線のようになる. 太陽放射分布を変化させた場合や日変化も考慮した場合についても興味ある問 題であるが, 本論ではそのような場合の議論は行なわない.

本論で示す全ての計算の初期状態は, 大気温度は全球 280K の一様温度, 10-5 の一様比湿, 静止の状態である.

初期の地表面温度分布は, 赤道で高く極で低い東西対称な分布である.

実験名 S
(W/m2)
SSR
(W/m2)
補足
S1200 1200 300.0
S1380 1380 345.0 現在の地球
S1500 1500 375.0
S1550 1550 387.5
S1570 1570 392.5
S1600 1600 400.0 暴走
S1700 1700 425.0 暴走
S1800 1800 450.0 暴走

表1:計算で与える太陽定数の値


figure 1
図 1: 入射太陽放射緯度分布. 曲線は上から順に S=1800 W/m2, S=1380 W/m2, S=1200 W/m2の場合の入射放射の南北分布を示す. 単位は W/m2. 青線はKomabayashi-Ingersoll 限界の値(385.2 W/m2)を, 緑線は Nakajima et al (1992) で得られた 1 次元平衡解の 放射量上限値の値(355.0 W/m2) を示す.


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