前節で述べた圧力断面極小旋回法で得られる渦軸と他の渦の定義法とを比 較する。 代表的な方法として、(i) 流線あるいは流跡線によるもの、 (ii) 渦線、(iii) 圧力、あるいは (iv) エンストロフィー密度を用いる 方法、(v)Q 定義法 [4, 11]、(vi) Δ定義法 [12, 13]、(vii)λ2定義法 [4]などが挙げられる。 この中で、(i) の流線および流跡線は、ガリレイ変換に対する不変性を欠いており、 渦の定義法としては不適当である。 また、(ii) の渦線は、She et al. [14]、 Moin and Kim [15] などにより、一様等方乱流の管状渦や壁乱流の ヘアピン渦の構造解析に利用されているが、 Robinson [2] が指摘したように、熟練した研究者でも誤った 渦構造の解釈に導かれる恐れがある。 従って、以下では、(iii)-(vii) の方法による渦芯領域の可視化と 圧力断面極小旋回法で抽出される渦軸の空間構造の比較を行うことにする。 同様の比較は、すでに、Miura and Kida [5] において、 それぞれひとつの等値面についてなされているが、 ここでは、等値面のレベルを連続的に変化させて、より詳細な検討を行う。 数値データは、前節において渦芯を求めるのに用いた格子数 1283 の シミュレーションのものを採用し、その中から、 643 の格子領域を切り出して表示する。 渦の強さを表す判別式 D の大きさを渦軸に色で示す。 濃青色は旋回の弱い渦、淡青色は旋回の強い渦に対応する。