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地球中心核対流の流体力学的アナロジーを作るために:

  1. 下降流による相変化を、
    主成分の比熱を非常に大きくすることで実現する。
    (Cp 35 R = 290 > 水蒸気のモル凝結エントロピー)
  2. 軽い不純物の放出の効果を表現するために、
    • 主成分の分子量(=2.25)<水蒸気の分子量(=18)とする。
    • 凝結物の重力分離を導入。

    を設定する。これにより、凝結の結果として重い成分の除去=浮力供給が行われる。

とすると、どうなるか?


結果の特徴

  • 運動場は、ほぼ定常横長なセルで特徴付けられる。
    上昇流は高温・乾燥であり、したがって軽いので対流を駆動するが、
    下降流も高温・乾燥であり、これは対流を減速するセンスである。
  • 凝結は最下層でのみ生じている。最下層の熱力学的特徴は、
    • 雲が広く存在する。これは下降運動での凝結を反映している。
    • 平均的に高温、乾燥している。これも凝結の結果である。
      ここで生成した雨は落下しつつも上昇流で巻き上げられる。

    である。

  • 凝結成分による浮力が温度偏差による浮力より大きい
    したがって、熱対流というより組成対流である。


運動場の特徴は、 Ishiwatari et al(1994) の flux 固定の熱対流と似ている。 この理由は、

この実験では最下層に雲がほぼ一様に分布しており、そのため、 雨の生成(すなわち凝結物重力分離による浮力供給)もほぼ水平一様である

ことに求められるかも知れない。

 

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図 11: 下降流で相変化を伴う対流(Click で拡大図へ)。
領域:1024km x 64 km。
上から、鉛直流(-10〜10m/s)、 温位偏差(基本場は断熱:-23.518〜-23.516K)、 水蒸気混合比(0.0075〜0.0078)、 雲水混合比(0〜2.5 x 10-4)、 雨水混合比(0〜10-5)。

なお、定常運動状態に至る途中経過を見ると、周期変化が現れた。

上昇流は固定しているが、下降流の位置は周期的に移動する。
下降流が軽い(したがって受動的である)ことと関連するかも知れない。


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