結果 地球流体における「雲対流」 数値実験 議論とまとめ

地球の雲対流earth.gif 93034bytes

相変化の諸々の効果を一つずつ加えていくことにより、
通常の熱対流と「雲対流」の繋がりの理解を目指す。
(一部Nakajima and Matsuno(1988)の再現)

実験結果はこちらへ。
設定と結果の概要は以下の通りである:

  1. 「可逆的雲対流」では、凝結は含むが、雨の生成=凝結物の重力分離は無し。
    結果は、運動の構造がベナール対流と同じになる。
  2. 「雨の除去」では、雨は生成するが、その後は系との相互作用無し。
    結果は、上昇・下降の非対称で特徴付けられる。
  3. 「現実的雲物理」では、凝結・雨の生成・雨と系との相互作用全てを含む。
    結果は、雲の life cycle、集団的振舞いを含む。




木星の雲対流

jupiter.gif 137009bytes 木星大気の、目でみえる「表面」から100km程度下では、水の凝結に伴う雲が生じていると推測されている。
木星の水蒸気雲対流の特徴と見所は:

である。

実験結果はこちらへ。 設定と結果の概要は以下の通りである:

  1. 「標準的成分」では、q=0.015 < qc なので浮力は正。
    結果は、凝結高度を境に「二階だて」の対流で特徴付けられる。
    「一階」は通常の熱対流と同じ。
    「二階」は地球の雲対流と同じ。
  2. 「可逆的雲対流」では、雨の生成を除去する。
    結果は、全体が一つの対流層となる。
  3. 「凝結成分強調」では、q=0.246 > qc であり浮力が負。
    結果は、「標準的成分」の場合の特徴に非対流性の雲層を加えた「三階だて」となる。



地球中心核の対流

core.gif 48470bytes 地球中心核の対流の特徴は

  1. 鉄の液体(圧縮率小)の対流なので 下降流による相変化(固化)が起こる。
  2. 鉄(主成分)の固化に際して軽い不純物が放出されるので、結果として 下から浮力供給
  3. が生じる。

である。これを「雲対流」の枠組にそのまま持ち込むことは出来ない。
そのかわり、流体力学的アナロジーを構成する。 具体的な設定は:

  1. 下降流による相変化を、
    主成分の比熱を非常に大きくすることで実現する。
    (Cp 35 R = 290 > 水蒸気のモル凝結エントロピー)
  2. 軽い不純物の放出の効果を表現するために、

    を設定することにより、凝結の結果として重い成分の除去=浮力供給が行われる。

である。

実験結果はこちらへ。


結果 地球流体における「雲対流」 数値実験 議論とまとめ