地球の雲対流
相変化の諸々の効果を一つずつ加えていくことにより、
通常の熱対流と「雲対流」の繋がりの理解を目指す。
(一部Nakajima and Matsuno(1988)の再現)
実験
:結果はこちらへ。
設定と結果の概要は以下の通りである:
- 「可逆的雲対流」では、凝結は含むが、雨の生成=凝結物の重力分離は無し。
結果は、運動の構造がベナール対流と同じになる。
- 「雨の除去」では、雨は生成するが、その後は系との相互作用無し。
結果は、上昇・下降の非対称で特徴付けられる。
- 「現実的雲物理」では、凝結・雨の生成・雨と系との相互作用全てを含む。
結果は、雲の life cycle、集団的振舞いを含む。
木星の雲対流
木星大気の、目でみえる「表面」から100km程度下では、水の凝結に伴う雲が生じていると推測されている。
木星の水蒸気雲対流の特徴と見所は:
- 分子量の主成分(2.25)< 水蒸気の分子量(18) なので、 混合比 > qc=0.057
だと浮力は負になり得る。 →分子量効果の効き方は?
- 下に「海」が無いので下層は飽和していない。
→途中から雲対流となる?
である。
実験:結果はこちらへ。
設定と結果の概要は以下の通りである:
- 「標準的成分」では、q=0.015
< qc なので浮力は正。
結果は、凝結高度を境に「二階だて」の対流で特徴付けられる。
「一階」は通常の熱対流と同じ。
「二階」は地球の雲対流と同じ。
- 「可逆的雲対流」では、雨の生成を除去する。
結果は、全体が一つの対流層となる。
- 「凝結成分強調」では、q=0.246
> qc であり浮力が負。
結果は、「標準的成分」の場合の特徴に非対流性の雲層を加えた「三階だて」となる。
地球中心核の対流
地球中心核の対流の特徴は
- 鉄の液体(圧縮率小)の対流なので 下降流による相変化(固化)が起こる。
- 鉄(主成分)の固化に際して軽い不純物が放出されるので、結果として
下から浮力供給
が生じる。
である。これを「雲対流」の枠組にそのまま持ち込むことは出来ない。
そのかわり、流体力学的アナロジーを構成する。
具体的な設定は:
- 下降流による相変化を、
主成分の比熱を非常に大きくすることで実現する。
(Cp= 35 R = 290 >
水蒸気のモル凝結エントロピー)
- 軽い不純物の放出の効果を表現するために、
- 主成分の分子量(=2.25)<水蒸気の分子量(=18)とする。
- 凝結物の重力分離を導入。
を設定することにより、凝結の結果として重い成分の除去=浮力供給が行われる。
である。
実験
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