座談会「流体力学の基礎教育」

出席者紹介

講義の内容と方法

カリキュラム
並びに
数学との関わり

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シミュレーション

将来

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〔笠木〕:東京大学は, 唯一教養学部がまだある. ただ, 随分長く教養学部と工学部との間で, 力学, 数学教育について, 意見の合わないところがありました. というのは, 教養学部の先生方は, 工学系でない方が多いので, 具体的な応用の場を意識せずに教える傾向になりやすいんですね. それで, そのことについては, 最近では工学部の人間がカリキュラムについて意見を言えるようになって, 随分解決されてきているんですが, なお, ものづくり”という概念からするとほど遠いので, やはりそこのギャップは依然としてある. ですから, 教養学部があるということも, よろしいんですが, 忙しい世の中になってくると, 対話を保つという面で難しさは残っていると思います.
 先ほどの微分形から入るか, 積分形から入るかということなんですけど, 熱力学では, マクロでサイクル論やるわけですね. エンジンの中にこれだけの気体を入れて, 圧縮して, 火をつけて, 膨張させれば仕事が取り出せるじゃないか. それに基づいて, エンジンの設計とかさせるわけですね. しかし, 並行して, 同じ気体を扱っているのに流体力学の方程式は微分形で出てきます. 機械系は, 内部流が多いので, どうしても粘性を最初に入れて, 壁面では速度がゼロだと教えないといけない. 微分系で表わして, そこには剪断率, つまり, 摩擦ができて, 物体の抵抗が現れる. 管路で圧力損失が生じ, あるいは伝熱が起こるとか, これらを結びついていかなくちゃいけない. 一方でグロス, 一方で微小体積, 両方できますので, このあたりは導入部としては, 学生諸君には分かりにくいと思います.


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