座談会「流体力学の基礎教育」

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〔大橋〕:実験については言いたいことがいっぱいあるんですけれども, 自分が数学科に勤めたり, 実験はよそでやらなきゃいけなかったせいもあって, ちょっと欲求不満なところがあるので, いろいろ言いたいことがあります. 流体力学にとって実験というのは非常に重要で, 実際に, 具体的に物に触れてみるということは非常に重要なことなんです. ところが, 最近は確かに実験をやる機会とかそういうのが減っています.
 もう一つは, 実は, 自分がこうやる現象をいろいろ見たり, いろいろやったりする実験というのも確かに必要なんですけれども, ほかの人がやった実験の結果とか, そういうのをある程度見るチャンスがあるかどうかということも非常に重要だろうと思います. 何でこんなことを考えたかといいますと, 1950年代にアメリカが16ミリの流体力学関連のフィルムをたくさんつくったんですね. 若いころのクラインが出てきたり, 有名な先生の記録を非常にたくさん残したことがありました. 私は若いころ, その当時の16ミリのフィルムを, たくさん見るチャンスがありました. それを見たときに, アメリカはすごいなと実は思いました.
 というのは, 何から何まで, 全部一つの大学なり一つの学部なりで, 全部するのはこれからほとんど不可能になりつつあります. さらに言いますと, もう少し上のレベルの大学院レベルとか, 研究レベルの話でももう少し情報の共有化というか, そういうのが必要なんじゃないかという気がします.
 これはいろいろな形でできるだろうと思います. たとえば酒井先生がいろいろ努力をされて, 流れの CD-ROM をつくられていますけれども, そういうことも一方では必要なんじゃないか.
 もう一方は, 展示会とか, 博物館とか, 啓蒙普及活動で, 流体に関する実験というのはたくさん行われているんですね. 大学の基礎教育としてある部分は実験というのが占める割合というのは非常に重要だろうと思います. 最近は, 間接要員の削除とか, 実験施設にお金が出ないとか, 場所の問題とか, いろいろなことがあって, 実験を活性化するのはなかなか難しいと思います.


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