〔谷田〕:やっぱり教えるというのは非常に難しいですね. 簡単なことで, 自分自身としてはわかったつもりでも, それをほんとうに物理的に把握した形で学生にわかるように教えるというのは非常に難しいと思いますね.
これも試作品みたいなものが本物になったんです. 紙で作った円柱ですが, 糸で吊って回転させながら落下させるマグヌス効果によって大きく横に振れるというわけです. これは, 谷先生の 『流れ学』 という本の初版本には載っているんですね. その次の本にはどうも載ってないらしくて, 初版本で絵だけ出ていたんですね. それで, これをやってみようということで, やってみましたら, 予想以上に非常におもしろい結果が出ました. 大島裕子さんがまた熱心で, これを追試されまして, 材料をいろいろ変えたりなんかして, さらに大島さんは几帳面な方ですから, 何センチ落下したら何センチ振れるという, そういうデータまで出していただいたんですけど, こちらはそこまではやっておりません.
これは, 角封筒の紙で作った円柱で, 軽くつくるのがみそなんですけど, 糸を両端に巻きつけまして, 箸で吊りこうやって円柱を落としますと揚力が働くほうに振れます. これをやってみましたときに, こんなに大きく振れるとは思わなくて, ほんとうにびっくりしましてね. これが一番評判がいいデモンストレーションです.
この他, テイラー・プラウドマンの定理なんかもわりと簡単にできます. これは台所で物を保存するプラスチックの直径10ぐらいの透明な容器に水を入れ, それをターンテーブルといっても手づくりのターンテーブル, それに乗せて手で 1 ヘルツぐらいの回転数で回しまして, 上からぽとっとインクを落としますと, きれいな円筒状のカーテン模様というんですか, それができます.
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