座談会「流体力学の基礎教育」

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〔巽〕:今おっしゃったことを, 私は, 感じとしてはよくわかるんです. ただ, 先ほどと一緒で, 結論的には反対なんです. (笑) そう言っていたのでは議論がかみ合わないので, 思いますのに, 流体力学の本で代表的なものは, 今井先生の 「流体力学」 (岩波全書) ですね. この全書は, 流体力学として完成しているんです. つまり, 完全流体が主で, 乱流も入っていませんし, 粘性も, 不安定性とか, そういうのは入ってない. だから, それはオシログラフと一緒で, オシログラフが信頼できるように, 要らないのではなくて, 信頼できるんです.
 ただ, それは流体力学としては完成しているが, 内容が余りにも少ない. つまり, これを流体力学と言われたのでは, 先ほど申しましたソリトンも, カオスも, フラクタルももちろん入ってない. しかし, いまやそれらを含むものが流体力学でなければいけないんですね.
 それで, 私が言いたいことは, いまオシログラフのように信頼されている 「流体力学」 だけではなくて, その外側にある流体力学, それも数式化されなければならないということです. もし, そうなったとしましょうか. なったとしても, なおかつ, それに湿度も入ってなければ, 化学反応もなければ, 重力も入ってない. 量子効果も相対論効果も生命現象も含まれていない.
 だから, 地球屋さん, 内燃機関屋さん, また何屋さんにしても, そういう人たちの流体力学というときに, 今のこの流体力学ではなくて, 現在まだ未解決なものまでも含めて, 数式としてオシログラフ化するということが, 理論屋に限らず, 実験屋も含めて, 流力屋がやらなならんことなんです.


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