付録A3 -補助空間利用の粒子密度算出(SPM)
付録A3 -補助空間利用の粒子密度算出(SPM) 仮想粒子密度とボリューム・レンダリングによる流れの可視化 付録A2-補助空間利用の粒子密度算出(CIC) 付録A4 -計算格子セルに基づく補助空間

一般に,特徴領域を効率的に抽出するためには,NGP的手法,CIC的手法ともに大量の仮想粒子を追跡する必要が生じる。 実験結果との比較・検討を考えた場合には,局所的な密度分布を工夫する方が大量の仮想粒子を追跡するよりも,効率・精度の面で有利となる可能性がある。 NGP的手法,CIC的手法ともに,与えられた速度場に対するあるスカラー量の移流方程式を計算する際の粒子法と同一視できる。 このことから,二つの方法を発展させたSPM (Smoothed Particle Method) 法 [8,9] の利用が考えられる。 SPM法の特徴は粒子の局所的な密度分布の扱いにある。 はじめに粒子 l に対して Wh(rl ) という一般的な密度分布を与える。 Wh(rl )を積分核と呼ぶ。  rl は粒子位置からの距離, h は影響領域を与えるパラメータである。  粒子法における積分核の具体的な形は,Euler方程式,Navier-Stokes方程式などの流体の支配方程式と計算アルゴリズムによって決定される。 積分核は局所補間を定義するものであるからメッシュレス法に用いられるものの利用が考えられる[10]。 つまり,粒子法,メッシュレス法の可視化法と見なすこともできる。 この観点からは,Wh(rl ) は計算結果の精度を反映するものとして扱うこと,すなわち,可視化と計算との整合性を考慮する必要が生じる。 個別の手法を対象とすることは難しいため別稿に譲ることとし,これより先は厳密性を多少犠牲にして議論を進めることとする。 本稿では二つの積分核を考える。 一つは次のようなべき級数型である。

もう一つはガウス型である。

仮想粒子の総数を L とすると,空間の任意の点 (x) での仮想粒子密度ρ(x) は,

で与えられる。 補助セルの頂点 (i,j,k) での仮想粒子密度 ρ(i,j,k) は,

となる。 ここで,式(A7)は格子系に依存しないことに留意されたい。 式(A7)または(A8)によって,少数の仮想粒子によって滑らかな粒子密度が計算できる。 しかしながら,NGP的方法,CIC的方法と比べると計算時間の面で不利である。

 

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