付録D:成長率,振動数の比較 熱フラックス固定境界条件での回転円筒内の熱対流

時間積分の結果と線形論の対応をより詳細にみるために, (a) R=10000 の場合において 成長率と振動数を比較してみた.

表1:数値計算(図 6)と線形論での成長率と振動数の比較.
    波数 2π 波数 π/4
    成長率 振動数 成長率 振動数
数値計算 14.5 59.8 0.478 6.20
線形論
切断波数 1 5.54 57.4 0.483 6.83
切断波数 5 14.6 60.7 0.292 6.93
切断波数 10 14.6 60.7 0.292 6.93
時間積分計算の結果の初期に現われる 水平スケールの小さな対流(波数 )は, 成長率が 15, 振動数が 60 程度であった. これに対し, 分散関係 (9) からは成長率が 5.5, 振動数 57 程度の値が得られる. 振動数は比較的一致しているが, 成長率は差が大きい. この原因は鉛直波数切断の低さにある. 無限次元の固有値方程式 (7)での 切断次数をあげた計算を行った結果によると 成長率は 15 程度となり, 時間積分計算の結果と一致する. したがって, 初期の対流は 予想通り線形的に発達していると考えてよいだろう.

(a) 初期

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一方, 時間積分計算の後半に現われる水平スケールの大きな対流(波数π/4)は, 成長率 0.48, 振動数 6.2 程度であった. これに対し, 分散関係 (9) からは 成長率 0.48, 振動数 6.8 程度の値が得られる. これらの値は一見一致しているように思えるが, 同様に (7) での 切断次数をあげた計算を行った結果では 成長率 0.29, 振動数 6.9 程度となり, 成長率が一致しなくなる. したがって, 後の水平スケールの大きな対流は 単純な線形的発達をしているわけではないようである.

(b) 後の遷移

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