粉体層上の動摩擦係数測定実験とその流体力学的考察

主要な結果 1・・・粉体層に残された痕跡

円盤が小麦粉層上に残した痕跡(以下滑走痕と略す)の内、多くのものは、図4〜6に示したような3つのタイプの滑走痕を含む(動画 3)。これを以下の様に滑走痕A〜Cに区別する。

A: 射出直後には、図4に示したような、滑走板が露出している部分と小麦粉層に接触の跡が見られない部分が交互に存在し、ジャンプを繰り返したことを予想させる滑走痕を残す。


動画3
粉体上に残された痕跡。滑走痕A-B、B-Cの境界を示した。
 
 図4 射出直後に見られる滑走痕A。円盤の進行方向は左→右。

B: その後、図5に示したような滑走の跡を残しつつも、底部の小麦粉は圧縮されていないような滑走痕に変わる。



 図5 滑走の中盤付近で見られる滑走痕B。円盤の進行方向は左→右。

C: 停止直前には、図6に示したように、粉体層はえぐられ、下の滑走板が露出している。



 図6 停止直前に見られる滑走痕 C。円盤の進行方向は左→右。

滑走痕Aの長さは各実験を通じて不規則であった。このことから、滑走痕Aは射出時の円盤の姿勢や小麦粉の撒き方のムラなど、制御しえない部分が原因で生ずると考えられる。よって本論文では滑走痕Aに関する情報は観察・検討の対象外とした。

また、質量が軽い円盤は、滑走痕Bと滑走痕Cの境界が不明瞭であり、特に滑走痕Cが認められなかった。


粉体層上の動摩擦係数測定実験とその流体力学的考察