実験設定 大陸プレートの影響により引き起こされるマントル対流の水平セルサイズ 方程式と境界条件

右表に数値実験に用いたパラメターを示す.

マントルの動粘性率は熱拡散率と比較して非常に大きいために, マントル対流の研究では, プランドル数を $Pr \rightarrow \infty$ として扱うことが多い. 動粘性率は上部マントルで 0.5 x 1018 m2 sec-1, 下部マントルで 2 x 1018 m2 sec-1と 推測されている (本多, 1997). ここでは Pr > 1 であることを考慮して Pr=10 に 固定した.

レイリー数は 104 から 106 まで変化させた. マントル対流でのレイリー数は, 上部マントル対流で 105 から 105, 全マントル対流で 106 から 107 と推測されている (Jarvis and Peltier, 1989; 本多 1997).

プレートの大きさは L=4,5,6 と変化させた. 一方, プレートの厚さは d=0.1 と一定値を用いた. これは,全マントル対流を考える場合には深さ 2900km に対して 290km, 上部マントル対流を考える場合には 上部マントルの深さ 670km に対して 67km の 厚さの大陸プレートを与えることになる.

速度場の初期状態は静止状態とした. 温度場の初期状態は, 熱伝導のみによる温度分布に 温かい点擾乱をおいたものを用いた.

このような実験設定のもとで, 支配方程式 (1), (2) と境界条件を用いて差分によって温度,流線関数の時間発展を計算した. 流体層の内部領域では x 方向に 960 点, z 方向に 80 点の等間隔のきざみをとった. 時間積分は 4 次のルンゲ・クッタ法を用いた. 非線形項の計算には Arakawa スキームを用いた. また渦度から流線関数を求める際には緩和法を用いた.

 
パラメータ 実験に用いた数値
プランドル数 Pr 10
レイリー数 Ra 104, 105, 106
プレート厚さ d 0.1
プレート大きさ L 4, 5, 6

表 :計算に用いたパラメータの値.


実験設定 大陸プレートの影響により引き起こされるマントル対流の水平セルサイズ 方程式と境界条件