アンサンブル実験設定 | 目次 | 地表面気圧のアンサンブル平均 |
ここではアンサンブル実験の試行回数を大きくしてゆくことによってノイズの軽減に対するアンサンブル実験の有効性を検討する. 降水量と地表面気圧のそれぞれについて赤道上での時間-経度断面を観察する.
図3 (アニメーション) は赤道における降水量の時間-経度断面がアンサンブル実験の試行回数を増やすことによってどのように変化するかを示している.
図3: 赤道における降水量 (W/m2)
の経度-時間断面図. アンサンブル実験の試行回数を
1, 2, 4, 8, 16, 32, 64, 128, 200 と
増やしていった結果をアニメーションで示す.
時間軸 (単位: 日) は暖水域導入時刻を 0 日目とする.
(アニメーションを再開するにはブラウザの再読み込み機能を用いてください)
試行回数を増加させてゆくにつれて以下のような特徴がみられるようになる. これらの特徴は試行回数をあげてゆくとより明瞭になる.
- 1試行
- 暖水域 (横軸「18」のところ) 上に降水活動が多い傾向がみられるにすぎない. 東西非対称性は判別できない
- 2試行
- 4試行
- 8試行
- 図の赤と青の面積比に注目すると, 暖水域導入後 15 日以降での西側で降水が少なく, 東側で多い傾向が見えてくる
- 16試行
- 32試行
- 暖水域の導入直後 (5〜10日) の東側に降水の少ない傾向が見えてくる. 降水はいったん減少した後に増加する. 降水の減少が始まる時期は暖水域から遠ざかるにつれ遅くなる
- 64試行
- 以下では上記の傾向がしだいに明瞭になってゆく
- 128試行
- 200試行
32試行平均以降では, 暖水域導入後15日以降で「西側で降水が少なく, 東側で降水が多い」傾向が現れ, Hosaka et al. (1998) の長時間平均の観察結果と整合的な降水分布を示すようになる.
アンサンブル実験によって, 暖水域の東側では降水はいったん減少した後に増加し, しかもこの現象が暖水域の導入に伴い信号が東に伝播する形でおこっていることがわかった.
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