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温度依存性粘性率をもつ流体の一次元流れ

―負性抵抗をもつ流れの安定性解析―

川口彰範(京大人環)・酒井敏(京大総人)

粘性の温度依存性を考慮した浸透流の一次元流れモデルで,熱い流体が冷やされながら流れていくという条件のもとでの定常流を調べ,粘性の温度依存性がを流れに及ぼす影響を明らかにする.

まず単純な一次元モデルの流速と圧力差の関係を調べ,適当な条件のもとで負性抵抗が現れることを指摘する.このとき,正抵抗の場合とは逆に,流速が大きい状態のほうが圧力差が小さくなる.

次に一次元流れを2本または3本並列につないだ流れモデルについて調べる.負性抵抗が現れるような条件のもとでは定常解の分岐が起こり,同一条件下で複数の定常状態が存在することがわかる.また,このとき,一様(対称)な条件のもとで非一様(非対称)な定常流が現れる.

最後に,一次元流れをn本並列につないだ場合について,定常解の分岐則の一般化を行い,負性抵抗をもつ一次元並列流れモデルの特性を明らかにする.

本文 付録
  1. はじめに
  2. 一次元流れモデルと負性抵抗

    2-1. ダルシーの法則と粘性率の温度依存性
    2-2. 流速と圧力差の関係
    2‐3. 流速-圧力差特性と負性抵抗

  3. 2本並列モデル

    3-1. 2本並列モデル
    3-2. 2本並列モデルの定常状態
    3-3. 数値実験による安定性解析

  4. 3本並列モデル
  5. n本並列モデルへの一般化

    5-1. 流れの状態の分類
    5-2. 2本並列モデルの流れの状態
    5-3. 3本並列モデルの流れの状態
    5-4. n本並列モデルの流れの状態

  6. まとめ
  1. 粘性率の温度依存性について
  2. 方程式の無次元化
  3. 圧力差の計算
  4. 負性抵抗と電気回路
  5. 数値実験の詳細

    5-1. 数値実験の基礎方程式と一次元モデル
    5-2. 2本並列モデル
    5-3. 2本並列モデルの実験結果の詳細と考察
    5-4. 3本並列モデル
    5-5. 3本並列モデルの実験結果の詳細と考察

2001年10月23日投稿
2001年11月9日受理

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