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水田 亮 ・ 余田 成男(京大理)
球面上の2次元順圧モデルを用いて、成層圏の冬季周極渦を理想化した状況を再現し、極渦周辺の大規模な混合過程と輸送障壁について調べた。
順圧不安定となるジェットを強制として与えて極渦が時間的に変動するようにし、
準周期的に時間変化する流れと、それによく似ているが非周期的な時間変化をする流れについて、
ラグランジュ的な解析方法を用いて調べた。
準周期流の中では典型的なカオス的混合がおこっていて、 極渦の外側、あるいは内側でも、効率的な混合がおこっていることがわかった。 混合領域は、順圧不安定によって擾乱が発達する場所と一致する。 ポアンカレ断面図により混合領域の正確な範囲を特定することができ、 不変トーラスの縁を混合の障壁とみなすことができる。 極渦の縁付近のポテンシャル渦度の強い勾配に対応する障壁に加えて、 このような強い勾配に対応しない別種の障壁が存在することがわかった。 非周期流においても、カオス的混合が支配的であった。 相関関数の時間発展もカオス領域に特徴的な様相を示した。 高いリアプノフ指数によって量的にも特徴づけられ、 それらの結果からは極渦の中心付近に孤立領域が存在することがわかった。 これは準周期流でのポアンカレ断面図で見られた 不変トーラスに対応する構造となっている。
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2001年6月27日投稿 2001年9月26日受理 |