3. 結果

3.5 極渦内で孤立する領域

ポアンカレ断面図による解析は非周期解には用いることができない。 しかし非周期解で見られた粒子の入らない領域(ムービー2)は、準周期解でのポアンカレ断面図で得られた特徴 、すなわち 極渦の中心付近の孤立した領域・それを取り囲む3つの島状の領域・三日月型の領域に対応していると考えられる。 非周期解においてこれらの領域がどの程度孤立しているかを、 そこから粒子を長時間移流させることによって調べた。

ムービー3: 非周期解における多数の粒子の移流のようす(GIF animation; 1.3MB)。

初期値として、t=90日に5か所の点を定め、3.2節と同様の方法で粒子をおいた。 極渦の中心の三角形の領域の中心に置いた場合(オレンジ)、90日経過しても まったく散らばることはない。その三角形の端に置いた場合(茶色)には、 水平シアーによって引き伸ばされることはあっても混合されることはない。 三日月型の領域に置いた場合(青)、粒子群は引き伸ばされ周囲と混合される。 しかし半分以上の粒子は最初の領域にとどまり、90日経過してもまとまって存在している。 3つの島状の領域のうち2つにおいて調べたが(赤・緑)、 一部は極渦内に広がるもののやはり90日後でもかたまりとして識別できる。 これらの3つの島はポアンカレ断面図においては1つのトーラスとして扱われるが、 その3つの島の流体粒子は混合領域に出て行かないかぎり お互いに混ざり合うことはない。