線形計算によって示された,
臨界状態付近での対流構造がらせん状になることを次のように考えてみた.
- 地形性β効果パラメター η が一定の場合の研究では
(Busse 1986),
η が大きいほど臨界レイリー数が増加する結果が得られている.
このことから, 系の回転は境界面の傾きを通じて
2 次元対流の発生を妨げる効果を持つと考えられる.
したがって, 外側と比較して境界面の傾きが緩やかである内側領域では
η が小さく対流運動が生じやすい不安定な状況となっているだろう.
- プランドル数が小さい場合には粘性の効果が弱いので,
内側領域で引き起こされた対流運動がロスビー波として伝播できる.
これがらせん状の伸びた構造として観察されていると考えられる.
- 一方, プランドル数が大きい場合には粘性の効果が大きいために
内側領域の対流運動が波として伝わることなくトラップされた
ままになっていると考えられる.
上の定性的な議論を確かめるために,
ロスビー波の分散関係から予想される波の伝播の様子と対流構造を比較してみた.
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