5. サーマルの内部機構
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図−23(a) 濃度コンター,流速ベクトル図(Ds=0.034mm,5s) |
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図−23(b) 濃度コンター,流速ベクトル図(Ds=0.034mm,10s) |
図−23(a),23(b)は,福嶋・今田(2000)の硫酸バリウムを用いたサーマルの実験(θ = 30°)の数値計算結果(粒径Ds = 0.034mm ,t = 5s,10s )の等濃度線(濃度コンター)と流速ベクトル図を重ねて描いたものである.θ = 10°の実験と同様に,サーマルは半楕円形の形状をしている.流速ベクトルはサーマルの周囲を囲む循環流の形成が見られ,その形成はθ = 10°に比べて顕著である.長さに比べて最大厚さが大きく,同じ経過時間で比べるとθ = 10°の場合より2倍近くも大きい.これは傾斜角が大きい場合,周囲水をより多く連行するためである.等濃度線はサーマルの中心付近で最も高濃度となっており,底面付近では比較的小さくなっている.このことは周囲水が先端下部より連行・混入していることを示唆する.
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図−24(a) 濃度コンター,流速ベクトル図(Ds=0.05mm,5s) |
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図−24(b) 濃度コンター,流速ベクトル図(Ds=0.05mm,10s) |
図−24(a),24(b)は,福嶋・今田(2000)の硫酸バリウムを用いたサーマルの実験(θ = 30°)の数値計算結果(粒径Ds = 0.05mm ,t = 5s,10s )の等濃度線(濃度コンター)と流速ベクトル図を重ねて描いたものである.Ds = 0.034mm と同様にサーマルは半楕円形の形状であり,サーマルの周囲で循環流が形成されている.サーマルの大きさをDs = 0.034mm の場合と比べると,t = 10s においてDs = 0.05mm の方がサーマルは小さい.粒径が大きいものほど沈降速度が大きくなるため粒子が巻き上がりにくく,また河床への粒子の沈降量も多くなるためと考えられる.
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図−25(a) 濃度コンター,流速ベクトル図(saline,5s) |
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図−25(b) 濃度コンター,流速ベクトル図(saline,10s) |
図−25(a),25(b)は,福嶋・今田(2000)の硫酸バリウムを用いたサーマルの実験(θ = 30°)の数値計算結果(saline
,t = 5s,10s )の等濃度線(濃度コンター)と流速ベクトル図を重ねて描いたものである.他の2つの条件の結果と同様に,サーマルは半楕円形の形状をしている.サーマルを囲む循環流やサーマル形状の発達は,これが最も顕著である.