秩序渦構造を分ける境界として、流れ場から を計算し、 式(6)のフィッティングで求めた値を用いる。 これを基準として渦核内部領域を中心軸からの距離がの範囲とし、 渦核外部領域として とする。
及びにおける平均流のエネルギーをそれぞれととし、次の様に定義する;
(10) |
(11) |
同様に、撹乱エネルギーとを次の様に定義する;
(12) |
更に撹乱の成長の異方性を調べるため、
単位体積当りの, での, , 成分のエネルギーを
(13) |
図12は、渦核内部領域における単位体積当りの 平均流エネルギー と、撹乱エネルギー の時間変 化であり、における平均流エネルギー で規格化してある。 に一様等方に与えた撹乱は、その後の成長に異方性が見られ、 では初期の2倍から6倍の差が現れる。 最も顕著な増幅を示すのが方向の撹乱であり、同様の振舞いが方向に も見られる。これらに比べて方向の撹乱振幅の増幅は目立たない。 これは の存在が軸方向運動を抑えるためである。 この様な振舞いは秩序渦内で撹乱の増幅が 半径方向に顕著なことを示す。この領域での可視化結果によると、表面に発生した 屈曲波がこの増幅に対応する。この振舞いは秩序渦と乱流との相互作用によって渦 表面上に発生した渦波によるものと考えられる。
渦核外部の平均流エネルギーは、図14の様に時間と共に減少し、で当初の約20%が散逸され、同時に 撹乱エネルギーが増加する。これはワームの活性化(伸張)に平均流のエネ ルギーが用いられたことを表わしている。
渦核外領域の撹乱エネルギー も時間と共に増加し、では初期状態 の4倍から10倍まで増えている。顕著な振舞いは方向に見られ、方向にも 同様の傾向が見られる。これは秩序渦から周辺乱流場へとエネルギーが注入されて フィラメントが活性化され、その結果及び方向の速度変動が強められる。 またRDTでは の増幅は見られないが、 巻き付いた微細渦間の非線形相互作用によって も増加している と考えられる。