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: 3. 計算コードの確認 : 秩序渦と乱流場との相互作用について : 1. はじめに


2. 数値計算方法

秩序渦の発展を捉えるため、計算精度の高いFourier・スペクトル法を用いた直接数値計算を 行った。基礎方程式としてNavier-Stokes方程式を用い、非圧縮条件を課す;
$\displaystyle \frac{\partial {{\mathbf u}}}{\partial {t}}+{\mathbf u}\cdot\nabla{\mathbf u}$ $\textstyle =$ $\displaystyle -\nabla p+\nu\nabla ^{2}{\mathbf u},$ (1)
$\displaystyle \nabla \cdot {\mathbf u}$ $\textstyle =$ $\displaystyle 0.$ (2)

ここで${\mathbf u}$は速度場、$p$は圧力、$\nu$は動粘性係数を表す。 時間発展の離散化には4次精度のRunge-Kutta-Gill法を用いて離散化し、 空間の離散化には擬スペクトル法[10]を用いる。 このため計算領域の境界条件は$(x,y,z)$方向について周期性を仮定する。 初期撹乱の流れ場生成にはYamamoto et al.[11]に基づいた減衰乱流を 生成した。このなかで流れ場が十分発達したときに計算を打ち切り、初期撹乱とし ている。

擬スペクトル法を用いているため、秩序渦も周期的境界条件を満すように 埋め込む必要がある。実際には図1にあるよ うに、立方体の一辺($z$軸とする)を秩序渦の中心軸を並行に取り、 $x-y$平面を4分割して互いに逆回転するよう配置する(図1)。 このためCrow 不安定性[12]やWidnall-Bliss-Tsai不安定性[13]を起こす周回方向波数$2$のストレイン場は 存在しない。

図 1: 渦の配置。
\includegraphics [width=0.45\textwidth]{haichi.eps}

軸対称性を持つ秩序渦として、式(1)の厳密解であるLamb-Oseen渦 [2]を用いる。渦中心を$z$軸とした円柱座標系$(r,\theta,z)$での 速度場 $(U_r,U_{\theta},U_{z})$を表すと、

\begin{displaymath}
(U_r,U_{\theta},U_z)=\left(0,\frac{\Gamma_0}{2\pi r} \left\{1-
\exp\left(-\frac{r^2}{r_0^2}\right)\right\},0\right)
\end{displaymath} (3)

となる。ここで$r_0$は初期条件における秩序渦の半径であり、$\Gamma_0$は秩序渦 の循環を示す。これらを流れ場の特徴を示すパラメータとして用い、長さスケール として半径$r_0$を、時間スケール$T$として秩序渦が一回転する時間 $2\pi
r_0/(\Gamma/2\pi r_0)$に取った。また無次元パラメータ$\alpha $は背景乱流場に 対する秩序渦の強さを表す。背景乱流場の渦度の自乗平均$\omega$と秩序渦の半径 $r_0$を用い、循環$\Gamma_0$
\begin{displaymath}
\Gamma_0=\alpha r_0^2 \omega
\end{displaymath} (4)

として関連付ける。 半径は秩序渦中心から隣の渦の計算領域までの距離$\pi$に比べて十分小さく取っ て周期的境界条件の影響を考慮する。



Naoya Takahashi 平成14年9月17日