3.2 撹乱源近傍領域での分布
次に,局所レイノルズ数が予測された臨界値に近い場合,すなわちRQ= 0.26×106(R(θ=0°)= 195 ),θ= 29 °において計測されたf=440Hz(||=0.06)の撹乱の挙動を示す.速度変動波形から,Y≒0.18を境に反対方向に伝播する波動が観測された(図6a).図5からの類推によって,それらはC-FおよびS-C不安定撹乱と推測される.ただし,両者の振幅や波長に大きな差はなく,モードの境界も不明確で時間的に変化しているように見える.図6bに示す位相分布は,図5bと同様に逆向きの勾配をもつ2つの領域にわかれており,2種類の不安定撹乱が存在することを示している.しかし振幅分布は,図5bとは大きく異なっていた.激しく変調された分布には,際立ったピークが3つ以上も現れた.出現するピークの数やそれぞれの振幅比は,レイノルズ数やθ位置,周波数などに依存して変化した.また位相が反転するY位置は必ずしも振幅が最小になる位置と一致しないことから,それぞれのピークを単純に2種類の不安定化機構に分類することはできないように思われる.このような状態では,2種類の不安定撹乱は,撹乱源に近いため十分に分散しておらず,互いに干渉をしていると推測される.各モードの最大振幅を求めるには,まず振幅変調がおきるメカニズムを明らかにし,2種類の不安定撹乱を明確に分類する必要がある.
(a) (b) 図6: 撹乱源近傍領域での速度変動波形(a) [動画]と振幅および位相分布(b).
Λ=50゜,RQ= 0.26×106,θ= 29 °,Z=1.3, f=440Hz .