3.3 位相分布
変調された振幅および位相分布の性質を明らかにするために,各Y位置で計測された速度変動の時間変化を,空間変化と組み合わせた等値線図に示す(図7).この図から,互いに反対方向に伝播する2種類の波動が存在すること,そして位相は振幅分布のような変調をほとんど受けていないことがわかる.以下において,Yが増加する方向に進む撹乱をMode1,Yが減少する方向に伝播する撹乱をMode2と呼称する.波動の山と谷を,それぞれ赤と青の線で示すと,図6bで振幅が極小値を取っている位置では2種類の波動の山と谷が重なり,弱めあっていることがわかる.逆に山と山,谷と谷が重なり強め合う位置では,振幅分布がピークを取っていた.従って,振幅分布の変調は,非常に複雑な現象に見えるが,実は単なる線形の重ね合わせであることが推測される.図7: 撹乱源近傍領域での速度変動の等値線図.Λ=50゜,RQ= 0.26×106,θ= 29 °,Z=1.3, f=440Hz .