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6つの未知数a1,a2b1,b2,Y1,Y2を解析的に解くことは不可能なので,これらの最適値を試行錯誤で選択することにした.図9aに,各パラメータを変化させた場合の,振幅分布の変化を示す.
パラメータが不適当な初期の分布では,合成された振幅分布(図9a中;Composition)は計測した分布(図9a中;Target)から大きくずれている.しかし適当にパラメータを変化させると,合成された振幅分布は,計測された分布に近づくことがわかる.最適な解として,計測された振幅分布A/Qeと合成後の振幅分布A*/Qeの差の標準偏差(=[Σ(Ai-Ai*)
2/
(Qe2n)]
1/2;i=1〜n)が振幅の平均値(=
ΣAi/ (Qe2n)
;i=1〜n)の3%以内となるように各パラメータを決定した.
図9aに示した最終的に得られた振幅分布からわかるように,合成された振幅分布は,それぞれの振幅が最大となる領域で,計測された分布と特によく一致した.位相分布も,同じ領域で合成結果φ*と計測値φがほぼ一致した.以上の結果から,点源近傍の領域で計測された振幅分布の変調が2種類の不安定波の線形的な重ねあわせで記述できることが確認された.また変調された分布が,2種類の不安定撹乱に分離可能であることを示した.
振幅が小さい両端では,合成された振幅分布と計測値の差が大きくなっていた.位相分布も,Y<0.14では合成された値と計測結果の差が大きいことがわかった.ただし,φ*は計測領域の両端でφ1もしくはφ2と一致しており,分離手法に問題はないことがわかる.つまり,計測領域両端での誤差は,Mode1とMode2の振幅と位相の分布形状をそれぞれ制限したためであり,仮定した形状の不正確さを示していると思われる.従ってより現実に近い分布形状を与えることができれば,誤差を小さくすることができる.しかしながら,差が大きいのは振幅が小さい領域であることから,最大振幅を求める際の支障にはならない.
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