5.分離された撹乱の特性
5.1  Y方向の分布
 決定されたパラメータから,空間波形および速度変動の等値線図を求めた(図10).重ね合わされていた2種類の不安定波動が分離され,互いに反対方向へ伝播する様子が明確に示された.また,分離によってそれぞれの撹乱の性質も明確になった.まず,この計測条件における最大振幅Amax/Qeは,Mode1が0.08%,Mode2が0.06%であった.  
 一方,スパン(Y)方向の波数 は,Mode1については0.48であったのに対し,Mode2についてはの大きさは0.31とMode1に比べ小さいことがわかった. なお,Mode2はYが減少する方向(外部流線の内向き)に伝播しているので, を正に取るならば は負である.  
 得られた撹乱の波数を,RQ= 0.5×106 について求められている中立安定曲線4)と比較してみる. =0.48は,=0.06においてC-F不安定が増幅すると予測された波数範囲にほぼ含まれる.一方, =-0.06, =0.31はS-C不安定に対する中立安定曲線内に含まれることがわかった.一様流レイノルズ数の条件は異なるが傾向はよく一致していることから,Mode1がC-Fモード, Mode2がS-Cモードによって増幅したと推測される.

(a)

(b)Mode1 (c)Mode2

 

図10: 分離された2種類のモードの速度変動.波形(a)[動画]とMode1(b)およびMode2 (c)の変動の等値線図.
Λ=50゜, R Q= 0.26×106 ,θ= 29 °,Z=1.3, f =440Hz .