計測された振幅変調が,線形の重ね合わせによると仮定すると,2つのモードを如何に分離するかということが問題になる.
計測して得られる変数は合成後の振幅A*(Y)および位相φ*(Y)の2つであるのに対し,求めるべき未知数はそれぞれの振幅A1(Y)とA2(Y),および位相φ1(Y)とφ2(Y)の4つと多いため,何らかの仮定をしなければ,これらの変数を求めることが出来ない.
そこで,本研究では,まず位相分布φ1(Y)とφ2(Y)を図7から線形で近似した.その結果振幅分布A1(Y)とA2(Y)は解析的に求めることができたが,得られた値はスパン方向に大きく変動し,期待した滑らかな分布ではなかった.その原因として,式(3)から明らかなように,合成された振幅分布は2つのモードの位相差に非常に敏感であるため,位相の計測および近似の誤差が強調されるからと思われる.このような誤差は,φ1とφ2を重ね合わせの影響を受けているφ*から推定している以上避けることはできない.
そこで振幅分布の形状をA1(Y)=a12cos2(b1Y-Y1),およびA2(Y)=a22cos2(b2Y-Y2)と仮定した.結果としてa1,a2,b1,b2,Y1,Y2が新たな未知数となった.この仮定は,分布形状を制限するので,すべてのYにおいて正しい振幅を得ることは出来ない.しかし,適当なパラメータを選択すれば,最大振幅Amaxを求め,臨界レイノルズ数を決定するという本研究の目的は達せられると思われる.
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