D.その他の特徴

D.3 クラウン上部にできる突起

図D.5 実験で撮影された代表的なクラウン
上: 標準実験で見られたクラウン(D01c03.jpg)
中: 粘性が極端に高い場合(V44e03.jpg)
下: 流体層が深い場合(D09b09.jpg)

本実験では,すべての実験条件で,クラウン(あるいはクラウン類似の構造)の上部に,突起が形成されることが観察され た.しかし,突起の形成・消滅のタイミングは,条件によって大きく異なっている.

図D.5(上)に,標準実験で見られるクラウンの画像を示す.後述のV44以外のすべての条件では,クラウン形成直後から,突起を確認することができる.これに対し粘性を極端に高くしたV44では,突起は,クラウンが形成され始めた段階では形成されず,クラウンが消滅する直前(だいたいt=18ms)になってはじめて形成される.(V44ではおよそt=20msで,クラウンが消滅する.)

消滅のタイミングも条件によって異なっている.ほとんどの実験条件では,クラウンが消滅するまで突起は残り,最終的には,突起だけが静水面状に現れる様子が見られる.これに対し,液滴が衝突する流体層の深さを深くしたD05D07D09では,個体差はあるが,およそt=30では,突起がほぼ消滅し,同心円状の構造のみが残っている.t=30では突起だけが残る標準実験などとは対照的である.

この実験の結果から,粘性が突起の形成を抑える方向に働くことが指摘できる.また,液滴が衝突する流体層の深さは,突起が持続する時間を短くする傾向があると言える.液滴の衝突速度に関しては,突起の形成の与える影響は見られなかった.