2.2 実験条件 |
実験は異なる境界の形状、および擾乱源の形で、以下のように5つの場合について行った。擾乱は、すべて変数 h に与え、その空間分布を図3に示す。
実験1: 一辺の長さが1の正方形の閉じた領域で、 境界から十分離れた中央部に 擾乱を与える。これは、風成循環において、Ekman層内で収束した水がどのように振舞うかということを念頭に置いた実験である。
実験2: これも正方形の閉じた領域で、擾乱源を北端から変形半径以内に集中させて与える実験である。これは、海洋深層循環において、深層に沈み込んだ水がどのように広がるかということを見るための、Stommel et al. (1958) の実験に相当するものである。
実験3: 東西方向に長さ2の長方形で周期境界をおき、境界部と中央部に南北に長い「島」をおいた実験。これは、Rossby 波が島に当たった後にどのように振舞うかを見るための実験である。
実験4: 上記 実験3 の北側の水路を閉じ、南側だけを開けた実験。これも、Rossby波が境界に当たった後の振る舞いを見るための実験である。
実験5: 上記 実験4 とは反対に南側の水路を閉じ、北側を開けた実験。
これらの5つの実験それぞれについて、初期擾乱を与えて Δ=0.05 と 1 で初期値問題を解いた場合、および、定常的な強制をおいて同じくΔ=0.05 と 1 として、定常問題を解いた場合の合計20ケースについて行った。なお、初期値問題では、擾乱はすべて正の値を与えたが、定常問題では、強制の領域積分が0になるように、実験1 と 実験2 では全領域一様に値を下げ、実験3-実験5 では左側の領域に負の強制をおいた。
実験1 実験2 実験3 実験4 実験5 図3:境界の形状と初期擾乱の形