3.2 実験結果 初期値問題 Δ=1

前の実験と同じ初期値問題で、 Δ=1 としたときの実験結果を図5に示す。 これは、Rossby波とKelvin波の位相速度の比が実際の大洋に近い場合である。

実験1: 初期に与えた擾乱 が、Rossby波として西に伝播し、西岸に当たって、Kelvin波が伝播するところまでは、前の実験とほぼ同じである。大きく異なるところは、東岸をKelvin波が北進するところからで、Kelvin波が東岸を L(=1) だけ北進する間に、Rossby波は変形半径(λ=0.05) 分西進してすでに境界から離れ始める。その後、Rossby波として西進するが、北と南で位相速度が大きく異なるために、そのRossby波が西岸に達するまでに大きく分散してしまい、1サイクルでほぼ振動は減衰してしまう。

実験2,3: これらも上記 実験1 と同様、振動成分の減衰が早く、ほぼ1サイクルで振動が収まり、Δが小さい場合と印象はかなり異なる。

実験4,5: Δが小さい場合に比べて振動が早く収まる点は、このケースも上記と同じである。これに加えてΔが小さい場合と異なる点は、最初のRossby波が境界に当たった後に発生する2つのRossby波の振幅が左右で大きく異なることである。Δが大きいと、Kelvin波が北進する間にRossby波に変換されてしまうため、Kelvin波が遠くまで到達できない。そのため、実験4 ではRossby波は境界に当たるごとに、ひとつ東側の領域に移動し、実験5 では同じ領域にとどまることになる。

 
実験1
実験2
実験3
実験4
実験5

図5:初期値題 Δ=1の結果。

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