3.3 実験結果 定常問題

Rossby波とKelvin波の変換、伝播過程が定常流に及ぼす影響を調べるため、定常な強制によって駆動した結果を 、Δ=0.05とΔ=1の場合について図6に並べて示す。 すべてのケースにおいて、強制の領域積分は0になるようにしてある。この実験は、海洋の熱塩循環において、表層と深層の水がそれぞれ境界層を越えた(密度が変わった)あと、どのように再配置されるかということを見るためのものである。

前に示した初期値問題では、 Δによってその時間発展に大きな違いが見られた。 この定常問題においても、定常状態に至るまでの過程はかなり異なるが、最終的な定常状態を見る限り、 実験1-3については定性的にそれほど大きな違いは見られない。

強制の領域はどれも正方形であるにもかかわらず、Δ=1のケースで渦の形が逆三角形に変形するのは、 Rossby波の位相速度が南にいくほど速いためである。

Δを大きくしたことによるもっとも大きな違いは、実験4と実験5の違いが顕著になることである。 すなわち、二つの海を極側で接続した場合と、赤道側で接続した場合では、赤道側の水路の方が効率よく水を流すことができるため、 左右の領域の水位差が小さいのに対して、北側の水路は効率が悪く、左右の領域の水位差が大きくなる。 これは、実験4の場合には西岸でRossby波から変換されたKelvin波が直ちに隣の領域に伝播できるのに対して、 実験5 では同じ領域の東岸を通らなければならず、このときに、再びRossby波として同じ領域にもどってしまうためである。

  Δ=0.05 Δ=1
実験1
実験2
実験3
実験4
実験5

図6:初期値題 Δ=1の結果。

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