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実験では単一の振動を加えることによって内部の流動をはかるため,
液滴に軸対称振動()と非軸対称振動()をそれぞれ別々に与え,
流体粒子の軌跡を観察した.
軸対称振動()のみを与えた場合,
図7(左)にあるように,
軌跡1(図3)のような軌跡が観察できたが,
混合現象は観察できなかった.
これは流体粒子は周回方向の運動成分を持たず,
粒子は一定のの面内で往復運動をするためである.
一方,非軸対称振動()モード(定在波)を励起した場合,
図7(右)にあるように,
ほぼ底面に平行な面内を動くのみであり,
こちらも混合現象は観察できなかった.
この傾向は高次の()でも同様であった.
このように,
線形振動の範囲では実験装置で与えている振動を単独で与えるだけでは
内部の混合は全く起らないことが分った.
図 7:
左:軸対称振動()のみの軌跡(軌跡I),
右:非軸対称振動()のみの軌跡.
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一方で,実験の観察結果では,
軸対称振動・非軸対称振動を加えるだけで
内部の流体粒子が大きく広がっている様子が観察されている.
したがってこのような混合は単独振動の非線形効果による可能性と,
意図した2つの振動(と)以外の
固有振動数が近い振動が同時に励起されている可能性が考えられる.
どのモードがどの程度実際に励起されるかは,
3次の非線形相互作用を考慮しなければ分からないが,
本論文では後者の可能性について調べる.
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鈴木, 高橋, 宮嵜, 青山