D 波数を制御した実験

4.2節の図13では、波数1の発達には波数4,5の重ね合わせの効果が効いているように見えるが、最終的な波数1の卓越に対してこの効果が必須なものかどうかをチェックするために、以下のように波数を制御した実験を行った。

波数4,5が急激に発達し始める時刻$ t=1.0$において、波数0,1,5以外の成分を全て強制的に0にセットして時間発展を継続した。このときの各成分のエネルギーの時間変化が図24である。これを見ると、波数4が非常に小さくなったため、波数4,5の重ね合わせによる波数1の急激な発達は見られなくなったが、他の波数との相互作用によって波数1成分は緩やかに増大して、最終的には波数1の順圧成分が卓越するようになる($ t=3.8$付近)。このように、最終的な波数1の卓越は順圧不安定によるものであり(エネルギー変換の図は省略するが、このとき確かに順圧平均流から順圧波数1への変換が卓越している)、図13で見られた波数4,5の重ね合わせによる急激な増加の寄与は必須のものではない。

図24: $ t=1.0$で波数0,1,5以外の成分を全て0にした場合の、
波数1,4,5,6の運動エネルギーの時間変化 ( $ y$軸: 対数目盛り)
\begin{figure}\includegraphics[trim=10 8 0 12,clip,scale=0.62]{img/energy/energy-wn0-BBCC-log.ps}\end{figure}

SAITO Naoaki
2008-03-07