C. モデルの詳細

3 次元灰色大気構造の太陽定数依存性と暴走温室状態 Previous C.e. 湿潤対流調節スキーム

d. 蒸発・凝結による表面気圧変化

あるレベルで凝結が起こり, 水蒸気が取り除かれれば, 本来はそのレベルにお ける質量効果を考慮し, それを ps, 上昇流の変化に足しこんでいくべきであ る. しかし, そのような取扱は $\sigma$ 系 では非常に繁雑になる. ここでは, あるコラムにおけるトータルの質量変化(蒸発量- 凝結量の鉛直積分) だけを考え, それを時間ステップの最後で補正してやることにする.

あるステップにおいて, Δq を蒸発・凝結による q の変化量, Δps を蒸発・凝結による ps の変化量とする. 調節前の値を $\hat{\ }$ をつけて表し, 調節後の値は ps, q と 表すことにする.

この時,
displaymath6818
となる.

地表フラックスは
\begin{displaymath}
F_q \sim L C (q^{\ast} - qs) \rho\end{displaymath}
なので, 蒸発による Δq は次のようになる.
displaymath6820

また, 凝結による Δq
\begin{displaymath}
\Delta q = S^{cond}_{q} \times \Delta t\end{displaymath}

以上より, ps の補正は
\begin{displaymath}
\Delta p_s = F_q(k=1) \frac{g}{L} \Delta t +
 \int S^{cond}_{q} \Delta t dp\end{displaymath}
と行なうことにする.

ps を変えたので, それに応じて q の値も変える必要がある. 水蒸気の質量が調節の前後で等しくなるようにする. その条件は
\begin{displaymath}
\hat{\rho} \hat{q} = \rho q\end{displaymath}
である. これより,
\begin{displaymath}
\frac{\hat{p_s} \sigma}{RT} \hat{q} = \frac{P_s \sigma}{RT} q
 = \frac{(\hat{p_s} + \Delta p_s) \sigma}{RT} q\end{displaymath}
これより,
\begin{displaymath}
q = \frac{\hat{p_s}}{\hat{p_s} + \Delta p_S}.\end{displaymath}


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