流れ場の局所的空間構造は、速度勾配テンソル (5) で表現される。 ある空間点の近傍で、その点に相対的な流線がらせん状であるかそうでないかは、 速度勾配テンソルが複素固有値をもつか否かで判定される。 すなわち、速度勾配テンソルの第2不変量を Q、行列式を R として、
図9 は、 Δの等値面を、しきい値の大きい方から
小さい方へ変化させて渦軸と比較したアニメーションである。
前節の Q と似た挙動を示すが、Q
の等値面に比べて表面の凹凸が大きく 目立っている。 これは、
Δが速度勾配テンソルの6次の関数であり、空間的な
値の変動が大きくなっているためである。
このアニメーションから分かるように、 Δ = 0
の等値面は、 前節の Q = 0
と同じように、広く空間を覆ってしまうため、
渦構造の解析には不向きである。 Δ定義は、流線のらせん状構造を速度勾配テンソルの固有値が複素数である という条件で判定しているという点で、我々の断面旋回条件 (4) と類似している。 しかし、3次元空間でのらせん条件( Δ定義)と2次元面内での 条件(断面旋回条件)は互いに独立なものである。 |