座談会「流体力学の基礎教育」

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〔木村〕:東大の地球物理学科でどういう流体力学の教育をしているかご説明したいと思います. 学部の 3 年生前期で物理学科の流体力学の講義があります. 現在は, 神部先生が担当されています. それは巽先生の言われた最初の分類の完全流体から入る感じの講義です.
 地球物理学科の場合には 3 年の後期で地球流体力学 (または, 地球流体力学基礎論) という講義があります. それは前期で学習した流体力学を踏まえて, 地球に流体力学を当てはめ, 地球が自転しているために生じる, 回転流体の性質とか, 重力場に置かれた密度成層の性質を学びます. 不安定な密度成層ですと対流が起こりますし, 安定な密度成層ですと中で波動が生じます. 波動, 対流, 渦の問題などを扱います. それから, 渦や対流については, 不安定の要素は非常に多いもので, 不安定論をやります. そういうことが地球流体力学の主な内容です.
 地球流体力学では, 粘性, 回転, 密度成層などの複雑な設定がまず最初に与えられて, その中から波動はどうか, 対流はどうか, 不安定だったらどうかというように現象で分類して話をするというのが東大でやっていることです. 後で酒井さんから京大ではどうかということをお伺いしたいと思います.
 それから, 大学院に行きますと, 東大の場合は部局化が行われた結果, バッググラウンドが違う学生がたくさん入ってきて, リセットされてしまいます. 学部の教育の上に大学院教育を積み重ねるということは今は全く不可能な状況になりました. リセットして, どうやって教育していくか, 今はパニック状態で私はほとんど絶望的な感じを持っております.

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