座談会「流体力学の基礎教育」

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〔大橋〕:流体力学を教えた経験では, それは巽先生がおっしゃったような連続体から入るというよりは, むしろ 2 年生でございましたので, 私は非常に困りました. 特に, 数学の知識は関数解析等まだ十分でないようなときに教えなきゃいけないということで, 実は, 巽先生がおっしゃった 1 番目の方法をとらせていただきました. ただし, それはかなり早く圧縮性にたどりつくような方法をとりました. ただし, 流体力学を教えているときつくづく思ったんですけど, 実験をちょっとでもしてみれば, 非常に簡単にわかってもらえるようなことを, 理論でやりますと, 非常に時間がかかるということがありまして, そこら辺の苦労がございました.
 それから, 新しい学部では, どちらかというと, 現象面の不安定性ということから, 入って, モデル化とシミュレーションみたいな切り口で, その非線型性の例が流体であったり, 経済現象であったりするような形で, 先ほど巽先生がソリトン, カオス, フラクタルとおっしゃいましたけど, 全部じゃなくて, カオスとか, フラクタルとか, 不安定性の現象面のほうから入る形を授業ではとっております. その一つの例が流体力学であるということで, 環境のいろいろなシミュレーションとか, あるいは比較的簡単な方程式からカオスが起こるとか, そういうところを教えています.
 ただ, これですと, 残念ながらきちんとした数式と並行してやらないとなかなか実が上がらないんですけれども, 高校生のときにきちんとした基礎数学をやってきてほしいということがあります. 結局, 不安定性から始めたいところが, 数学の初歩的なことから, ちょっとした非線型性の微分方程式の話から始めなきゃいけないということがありまして, そこら辺はちょっと問題点があるかなということがあります.
 それから, 林先生がおっしゃったように, ある意味で教養の問題が我々のところでも尾を引いていまして, 低学年から専門性をものすごく打ち出してしまうと, 基礎がないまま専門にいきなり突入してしまうということで, 大学院に行ったときに基礎がなくて困るということがありますので, 大学院との整合性といいますか, それも頭に入れながら基礎教育ということを考えないといけないのかなというふうに感じております.


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