座談会「流体力学の基礎教育」

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〔林〕:どうもありがとうございました. とりあえず順番に話すとして, 私からスタートします.
 私がアメリカにいた時に経験したことを申しますと, アメリカの流体力学教育は場所によって多少違うでしょうが, 大学院では基本的に連続体力学から始まります. 例えば, バークレイでは機械工学専攻の全部の学生が連続体力学をまず最初にとらなくてはいけないわけです. その後, 粘性流体, 高速流体などを学ぶという形です. ただし, 学部では流体力学一般という形で学生に講義をしています.
 日本とアメリカの大きな違いとして, アメリカの主要な大学は, 大学院大学教育が確立していると思います. 学部は, ベイシックな流体力学を教えます. 大学院になってから, 集中して難しいことを学ぶわけです. 私は, かなり密度の濃いものを 2 年間にやらされました. ただ, アメリカの場合, 卒論は日本のようには重視していないので, 学部の内容は基礎的なものにとどまっているわけです.
 そういうことを考えますと, 日本の流体力学教育に対していい例になるかどうか分からないんですが, 大学院大学を目指すとしたら, 学部には簡単な内容の教育を施すと良いのではと思います. ただし, 基礎的な力とか創造性とかをみんなに持ってもらう, または出してもらう, そういう教育が大事なんじゃないかなと思うのです. 今の日本は, 大学院大学をどのように考えているのでしょう.
 青山学院大学では, 演習付きの基礎的な流体力学を 2 年で与え, 3 年で粘性流体と圧縮性流体の授業をしています. 今はちょうどカリキュラム改編の時で, 各科目での内容が少し重複しているところもあるようです. もう少し内容の一貫性が出来ればと考えております. 後で議論する数学との関係ですが, 多くの学生は方程式の入った授業をあまり好まないようです.


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