座談会「流体力学の基礎教育」

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〔谷田〕:東海大学では 5 年しか経験しておりませんので, あまり詳しく申し上げることはできないんですが, 東海大学は昨年度までは普通の学期制でしたが, 今年度からセメスター制度に移行いたしました. 工学部機械工学科というのは動力機械, 生産機械, 精密機械と 3 学科ありまして, 動力機械は学生数が 1 学年約220名で, あとは生産機械が150名, 精密機械が100名ぐらいという, かなり規模の大きい学科です.
 そこで, 私のおります動力機械についてちょっと申し上げます. 大体先ほどからお話が出ておりますように, 工学部というのは実際の応用がきくような実学をまずやるべきだということが一番根底にあるわけで, 昨年までは 2 年生で水力学的な授業を通年でやっておりました. それから, 3 年生に入りまして, 連続体ということで, 完全流体から入って, 粘性流体, 圧縮性流体, というプロセスで授業をやっておりました.
 ところが, 今年度, セメスター制になりまして, 半期で流体力学なら流体力学を全部やってしまうということになりました. 半期でやるわけですから, 1 週間に 2 時限やって, 13週やるというようなことになりまして, 講義の内容も完全に変えてしまって, 現在は水力学的というよりは流体力学, 連続体としての授業をやるというような形になっております.
 教科書としては, 数年前に私, 東海大学に行きまして, あまりにも学生ができなくて手こずったものですから, 少し自分で書いてみようと思って書いた本がありますけれども, その本を書きますときにも, 完全流体からスタートして, 粘性流体, 圧縮性流体に入っていくかというので悩んだわけです. 日野先生なんかの立派な著書があるわけですけれども, そういうのを拝見しまして, やはり完全流体というのは粘性流体の一つのスペシャルケースかもしれませんけれども, 一つの基礎であって完全流体で学生に流れというもののイメージをまずつかまえさせ, それから粘性が入ったらどうなる, 圧縮性が入ったらどうなるというような形で持っていったほうがいいんじゃないかということで, 私の教科書も, そういう形で仕上げました.
 それで, 現在では, 水力学と流体力学を組にした, 連続体としての流体力学を半期で (第 4 セメスター), 2 年の後期に相当するわけですけれども必修 4 単位でやっております. そして, 第 5 セメスターに流体工学, 流体機械, これは選択 4 単位ということでやっています.
 セメスター制になって非常に大きく変わりましたのが, 秋に入ってくる学生がいるということです. これは一番最初, 帰国子女を対象にしていたわけですけれども, 帰国子女の数なんてたかが知れているわけです. そういうことで, 秋入学の学生を対象として, 第 5 セメスターにも流体力学 (副, 必修) が設けられており, すでに今年度前期にほかの教員がやったわけですが, その話を聞きますと, 我々が授業をやっている, 流体力学の単位を落とした連中がかなりなだれ込んできているということで, そういう意味で存在意義があるというようなことのようです.
 そういうことで, もっと申し上げたいことがあるんですけれども, 東海大学としましては, 実学優先ということで, 完全流体, 水力学をベースにした連続体力学, 流体力学というような形で入っております.


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