座談会「流体力学の基礎教育」

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〔巽〕:今おっしゃったように, 一般力学から流体力学に入るときに, 一つは, 今のラグランジュ記述からオイラー記述への切り替えがありますが, もう一つは, 流体の微小部分を考えるという問題があります. 普通, 力学は, 例えば, 質点にしても, 剛体にしても, 物はちゃんとあるわけです. ところが, 流体は, 物が広がっているから, 微小部分を考えるしか仕方がないのですね. しかし, 微小部分で議論して, 応力とかひずみとかを出すところは, 教える方も嫌ですね. (笑) だから, 学生には 「しばらく辛抱して下さい, すぐ済みます.」 とか言って, その部分をやります.
 しかし, 先ほどの議論に戻って, 木村さんは圧力というものが一番理解しにくいと言われたが, 私も全く同感です. パスカルは, われわれが今当たり前だと思っている静圧力を出すのに苦労したんですね. 大掛かりな実験をしているんです. ところが, パスカルの努力で静圧が分かったら, つぎにわれわれは動圧の理解に苦しむんです. それから, つぎに粘性が入れば, 粘性流体の中の静圧とは何ぞやという問題が起こる. 結局, わからないままに, 三つの方向の平均値であるという定義で理解するんですね. しかし, どうやって測るといったら, 面で測るしかしようがないですね.
 いま, 先生が言われたのは, 工学と例えば地球物理の場合には, 一次元流の持つ重みが違うということですね. 地球物理の場合には, 一次元流というのを最初に持ってくる必要はない. それはそうだろうと思いますね.


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