4. 泥水サーマル
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図−8 傾斜角10°の実験装置図 |
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図−9 傾斜角30°の実験装置図 |
表−4 福嶋ら(1999)と福嶋・今田(2000)の実験条件 |
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表−5 硫酸バリウムの物性 |
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非定常な泥水流の数値解析の妥当性を検証するため,実験結果と比較を行った.比較に用いたのは福嶋ら(1999)と福嶋・今田(2000)の実験である.以下に実験の概要をまとめる.
福嶋ら(1999)が用いた実験装置を図−8に示す.福嶋ら(1999)の実験は長さ370cm,高さ40cm,幅15cmの矩形アクリル製水槽で行われた.水槽は角度10°で傾斜している.実験では,土砂粒子の代わりに比重4.37の硫酸バリウム粒子を用いた.上流端には引き上げ式のゲートをもつボックスが設置され,水槽内には淡水が,ボックス内には1lの硫酸バリウム混合水が満たされる.ゲートを引き上げることにより傾斜サーマルが発生され,水槽側面からビデオ撮影された.傾斜サーマルの流下速度,最大厚さが画像解析により逐次求められた.実験では非定常流が対象とされているため,誤差を最小限にするために同じ実験条件で5回ずつの測定が行われ,その平均値を実験結果とされた.サーマルの流下後,水路床上に沈降堆積した硫酸バリウムの重量が測定されている.また上流のボックス内に堆積した硫酸バリウムも測定されており,これらと投入した硫酸バリウムの重量の差からサーマルとして流下した粒子の重量が算出された.
福嶋・今田(2000)が用いた実験装置を図−9に示す.福嶋・今田(2000)の実験は長さ200cm,高さ100cm,幅30cmの矩形アクリル製水槽に,幅15cmのアクリル製の傾斜板を角度30°で固定した装置を用いて行われた.実験および測定の方法は福嶋ら(1999)と同様である.数値計算に用いた粒子の沈降速度はストークスの式で求めた.
福嶋ら(1999)と福嶋・今田(2000)の実験条件を表−4に示す.またそれぞれの実験で用いられた硫酸バリウムの物性を表−5に示す.