図3-2: 4.35 ≤ c ≤ 4.67 の場合の連続モードの水平構造

図3-2 (左)に, log E=-0.20, 4.35 ≤ c ≤ 4.67 の場合における典型的な連続モードの水平構造を示す. このモードの分散曲線上の位置は右図の青丸で示されている. この場合では, 北側境界ケルビン波モード(N.B.K.)的な構造と 連続モード(C)の構造が明瞭に現れる. 振幅は小さいながらも, 赤道ケルビン波モード(K)の構造も 現れているようである.

図3-2 に示したモードの臨界緯度は y=2.43 であり, y=2.40 付近に存在するジオポテンシャルの振幅のピークは 連続モードの構造に対応したものであると考えられる.

y=3.00 付近に存在するジオポテンシャルの振幅のピークは 北側境界ケルビン波モードの構造に対応すると考えられる. その理由は, 北側境界ケルビン波モードの位相速度も 4 程度であり (図3-2 右の分散曲線図に付記した白三角印) 分散曲線図上において近い場所に位置していること, 北側境界に補足された構造が境界ケルビン波の特徴を 持っていることである.

2.00 < y < 3.00 の領域には, 東進混合ロスビー重力波モード と東進慣性重力波モードの構造が混ざっている可能性もある. log E=-0.20 においては これらの東進モードと連続モードの共鳴がおきているからである (これらの共鳴によってもたらされる不安定モードは高波数域に存在 している). しかし, 図3-2 (左)の水平構造図では東進混合ロスビー重力波モード と東進慣性重力波モードの構造が混入しているかどうかは 判定できなかった.

また, 振幅は小さいけれども y=0 付近の速度場は, 赤道ケルビン波モード的な構造を示している. 赤道ケルビン波モードが連続モードと共鳴を起こさず中立モード として存在した場合には, k=0.10 における位相速度は c=3.7 程度になり, 図3-2 で示したモードの位相速度に比べて小さな値となる. しかし, 赤道ケルビン波モードは, 連続モードと共鳴を起こしているために, 周囲の連続モードへの混入を起こしているのだと考えられる. 赤道ケルビン波的な構造は, 位相速度の広範囲ににわって (図3-2から図3-7) 現れている.

図3-2: log E=-0.20, k=0.10, c=4.43 の連続モードの水平構造(左図)と分散曲線上の位置 (右図の青丸). 水平構造の図の等値線はジオポテンシャル(φ), ベクトルは速度場(u,v)を表す. 等値線間隔は, 1.00 × 10-1 である. 右図中の記号の意味については, 表1 を参照のこと.

図3-2: 4.35 ≤ c ≤ 4.67 の場合の連続モードの水平構造