図3-6: 2.51 ≤ c ≤ 3.29 の場合の連続モードの水平構造

図3-6 に, log E=-0.20, 2.51 ≤ c ≤ 3.29 の場合における 典型的な連続モードの構造(左図)と分散曲線上の位置(右図の青丸)を示す. この場合では, 北側境界ケルビン波モード(N.B.K.)的な構造と, 赤道ロスビー波モード(Rossby)的な構造, 赤道ケルビン波モード(K)的な構造が現れる. モードの水平構造の図では連続モード(C)の構造を確認することはできない.

図3-6 に示されたモードの臨界緯度は y=0.83 なので 連続モードの構造に対応したジオポテンシャルの振幅のピークが y=0.83 付近に存在するはずであるが, 図3-6 では見出すことは出来ない. 連続モードの構造は, 以下で論じる赤道ロスビー波モード的な構造に隠されて 見えなくなっているのであろう.

y=3.00 付近には, 北側境界に捕捉された北側境界ケルビン波 モード的な構造が現れている. 北側境界ケルビン波モードの位相速度(図3-6 右の分散曲線図に 付記した白三角印)と 図3-6 (左) で示したモードの位相速度は 近い値ではないけれども, 北側境界ケルビン波モードの混入が起こっているようである.

1.0 < y < 2.4 付近には, 地衡風的な構造が見られ 赤道ロスビー波的な構造が現れているようにも見える. 確かに, 位相速度から 1.0 < y < 2.4 付近の基本場速度を差し引くと 負の値を取る. しかし, 力学的赤道の南側では, 位相速度から基本場の流速を差し引くと正の 値を取るので, いわゆる赤道ロスビー波的な性質とは異なっている. 図3-7 で示すように, c < 2.5 の領域には, 赤道ロスビー 波モードが連続モード中に同化して存在するので, 分散曲線図上において近い 場所に位置する周囲の連続モードにも赤道ロスビー波モードの構造が混ざって 現れているのかもしれない.

y=0.00 付近の構造は赤道ケルビン波モードの特徴を持っている. 赤道ケルビン波モードが連続モードと共鳴を起こさず中立モード として存在した場合には, k=0.10 における位相速度は c=3.7 程度になり, 図3-6 で示したモードの位相速度に比べて大きな値となる. しかし, 赤道ケルビン波モードは, 連続モードと共鳴を起こしているために, 広範囲にわたって連続モードへの混入を起こしているのだと考えられる.

図3-6: log E=-0.20, k=0.10, c=2.83 の連続モードの水平構造(左図)と分散曲線上の位置 (右図の青丸). 水平構造の図の等値線はジオポテンシャル(φ), ベクトルは速度場(u,v)を表す. 等値線間隔は, 1.00 × 10-1 である. 右図中の記号の意味については, 表1 を参照のこと.

図3-6: 2.51 ≤ c ≤ 3.29 の場合の連続モードの水平構造