以上の結果より、平均流の加速を説明する最も重要な過程は次である。まず固有モードの発達によって熱輸送が起こり、それによって生じた浮力偏差の水平勾配が鉛直面内の循環を駆動し、更にその循環の鉛直流にコリオリ力が働くことによって平均流が加速される、という3段階の過程である。
擾乱同士の相互作用(式(19)中の)の中で、浮力に関する成分が結果的に平均流の加速に最も寄与することは、次の方法でも確認できる。例えばの成分の寄与は、の以外の成分を全てゼロにして(19)を解いた時の解である。成分についても同様である。このようにして求めたの各成分から平均流の加速への寄与の分布を図35(の場合は図36)に示す。これを見れば、浮力に関する成分からの寄与が最大であることは明らかである。
SAITO Naoaki