5.2 固有モードの二次効果
そこで今度は全ての二次効果を考慮に入れる。
変数を次のように基本場(方向に一様)・擾乱成分・擾乱の二次オーダーの帯状成分に分ける。
擾乱成分は摂動方程式(10),(11)に従い時間発展する。線形安定性解析で求まる発達率をと書くと
擾乱の二次オーダーの帯状成分に関する式は、式(2),(7)より次のようになる。
このに関する微分方程式を解く。をスペクトル法を用いて-面で離散化し、全スペクトル成分()をまとめてベクトルと書くと、(17),(18)は次のようになる。
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(19) |
ここでは係数行列、は(17),(18)それぞれの右辺第1項(擾乱同士の相互作用の効果)であり、
と書ける(は空間構造を表すベクトル、発達率は擾乱の発達率の2倍になっていることに注意)。まず、(19)の特解を
として(19)に代入すると、次が得られる。
ここでは単位行列である。これをについて解けば特解(20)が求まる。(19)の一般解は
とするととなり、次の一般解が得られる。
上式中のは減衰振動成分であり、時間が経過するとの項が卓越する。よって、特解の構造が、固有モードの二次効果による平均流加速の分布を決定する。
さて、平均流の加速を表す量はである。ここで、との間には次の関係がある。
求めた特解のの成分から(25)を用いて計算したの分布を図24に示す。の場合は図21と図24(左)、の場合は図22と図24(右)で、いずれも加速の分布が一致している。したがって、平均流の加速は、(17),(18)の右辺第1項以外、すなわち擾乱の二次オーダーの帯状成分に関する項からの寄与が大きいことが分かる。
図24:
固有モードの二次効果によるの分布。(左: 、右: )
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SAITO Naoaki
2009-07-09