杉綾模様のロール状対流の形成が確認されたとの場合について、固有モードが平均シア流を加速する仕組みを調べ、Hathaway & Somerville(1987)[2]の提示した杉綾模様の効果(運動量輸送)が平均シア流の加速の本質的な原因であるかどうかを検証する。
図11や図15で見たように、時間発展における流速の帯状成分の初期場からの偏差の成長率が、初期場の持つ固有モードの最大発達率の2倍であることから、平均流の加速は固有モードの二次効果によって引き起こされると考えられる。確認のため、線形安定性解析で求まった発達率最大の(付近に振幅を持つ)固有モードを初期擾乱とした時間発展を計算し、平均流の加速(初期場からの偏差)について3章の時間発展の結果と比較したところ、平均流の加速の分布のパターンは一致した(図21と図22)。よって、以降では(付近に振幅を持つ)固有モードの二次効果について解析する。(付近に振幅を持つ固有モードについても、対称性(AppendixA.7参照)を考慮すれば同様の議論が成り立つので、以下では省略する。)