5 固有モードの二次効果の解析

杉綾模様のロール状対流の形成が確認された$ Ta=3\times 10^4$$ Ta=10^5$の場合について、固有モードが平均シア流を加速する仕組みを調べ、Hathaway & Somerville(1987)[2]の提示した杉綾模様の効果(運動量輸送)が平均シア流の加速の本質的な原因であるかどうかを検証する。

11や図15で見たように、時間発展における流速$ v$の帯状成分の初期場からの偏差の成長率が、初期場の持つ固有モードの最大発達率の2倍であることから、平均流の加速は固有モードの二次効果によって引き起こされると考えられる。確認のため、線形安定性解析で求まった発達率最大の($ x=0$付近に振幅を持つ)固有モードを初期擾乱とした時間発展を計算し、平均流の加速(初期場からの偏差)について3章の時間発展の結果と比較したところ、平均流の加速の$ x$分布のパターンは一致した(図21と図22)。よって、以降では($ x=0$付近に振幅を持つ)固有モードの二次効果について解析する。($ x=5$付近に振幅を持つ固有モードについても、対称性(AppendixA.7参照)を考慮すれば同様の議論が成り立つので、以下では省略する。)

図21: $ {Ta=3\times 10^4}$の場合の時間発展で、固有モードを初期擾乱とした場合(左)と
1点に初期擾乱を与えた場合(右)での平均流加速の比較
\includegraphics[trim=0 0 0 0,clip,scale=.51,angle=0]{img2/dif_f173-e1.ps} \includegraphics[trim=0 0 0 0,clip,scale=.51,angle=0]{img2/dif_f173.ps}



図22: $ {Ta=10^5}$の場合の時間発展で、固有モードを初期擾乱とした場合(左)と
1点に初期擾乱を与えた場合(右)での平均流加速の比較
\includegraphics[trim=0 0 0 0,clip,scale=.51]{img2/dif_f316-e.ps} \includegraphics[trim=0 0 0 0,clip,scale=.51]{img2/dif_f316.ps}



Subsections
SAITO Naoaki
2009-07-09