5.3.1 平均流の加速への寄与

帯状成分の$ y$微分や$ \overline{u}^{\,(2)}$の鉛直平均がゼロであること、(4),(8)などに注意して、(17)の$ \langle \overline{\omega }_3^{\,(2)}\rangle $成分について書き下すと次のようになる。

$\displaystyle \frac{\partial \,\langle \overline{\omega }_3^{\,(2)}\rangle }{\p...
...0+\frac{\partial ^2}{\partial x^2}\,\langle \overline{\omega }_3^{\,(2)}\rangle$ (26)

第2項(基本流と二次流の相互作用の効果)と第4項(浮力の効果)はゼロとなる。第1項(擾乱同士の相互作用: 運動量輸送の効果)、第3項(二次流に働くコリオリ力の効果)、第5項(粘性の効果)、右辺の総和の$ x$分布を図25($ Ta=3\times 10^4$の場合は図26)に示す((25)を用いて$ \langle \overline{v}^{\,(2)}\rangle $に変換)。これを見ると、第3項のコリオリ力の効果が第1項の運動量輸送の効果と逆向きに働いており、寄与が最も大きいことが分かる。第3項だけに注目し、(25)を用いると次が得られる。

$\displaystyle \left.\frac{\partial \langle \overline{v}^{\,(2)}\rangle }{\parti...
...cceleration by the Coriolis force}}=\langle \,\overline{w}^{\,(2)}\rangle \,f_1$  

回転軸が鉛直な系であれば鉛直流にコリオリ力は働かないが、今は回転軸が傾いた系を扱っているため、固有モードの二次効果によって生成された鉛直流にコリオリ力が働き、平均流の加速に大きく寄与する。

図25: $ {Ta=10^5}$の場合の発達率最大の固有モードによる、$ {d\,\langle \overline {v}^{\,(2)}\rangle /dt}$への各項の寄与。
赤線: 第1項(擾乱同士の相互作用: 運動量輸送の効果。図23(右)に相当)、緑線: 第3項(二
次流に働くコリオリ力の効果)、青線: 第5項(粘性の効果)、紫線: 総和(図24(右)に相当)
\includegraphics[trim=0 0 5 4,clip,scale=1.28]{img2/ksA-e-FX/f316-e-FX3.ps}



図26: $ {Ta=3\times 10^4}$の場合の発達率最大の固有モードによる、$ {d\,\langle \overline {v}^{\,(2)}\rangle /dt}$への各項の寄与。
赤線: 第1項(擾乱同士の相互作用: 運動量輸送の効果。図23(左)に相当)、緑線: 第3項(二
次流に働くコリオリ力の効果)、青線: 第5項(粘性の効果)、紫線: 総和(図24(左)に相当)
\includegraphics[trim=0 0 5 4,clip,scale=1.28]{img2/ksA-e-FX/f173-e1-FX3.ps}


SAITO Naoaki
2009-07-09