2. 理論 |
2.1 コンターダイナミクスとは
2.2 コンターダイナミクスの定式化
2.3 楕円渦の理論
2.4 流体塊の変形に関する有限時間リアプノフ解析
2.1 コンターダイナミクスとは
2次元非発散完全流体において、流体の速度を u (x,t )、 渦度の鉛直成分を Q (x,t ) とすると、 流体の運動は渦度のラグランジュ的保存則で記述できる。
(2.1)
いま、平面上に領域 Dj ( j =1,2, ... ,J ) があって ( Dj1∩ Dj2 = φ )、渦度分布が
(2.2)
で離散的に与えられているとする。これを渦パッチと呼ぶ。このような状況を設定すると、
- 各領域内の渦度はラグランジュ的に保存されるので、 時間とともに領域内部で一定値のままである。
- よって、各領域の境界線(コンター)の位置を追えば系の状態がわかる。
- 任意の点の速度はコンターの位置から計算できるので、 それからコンター自身の時間発展を求めることができる。
- 結局、流体運動の時間発展がコンターの変形で記述できることになる。
このような渦パッチの時間発展に関する力学をコンターダイナミクスという。
長所:
- 二次元問題が一次元の線積分に還元され、計算時間が著しく短縮される。
- 非定常的な振舞いが容易に取り込める。
- スペクトル法との比較実験により信頼性が確かめられており、 より高分解能の計算が可能である。
短所:
- 完全流体の仮定をはずすことが難しく、 散逸過程が重要な問題には適していない。
- 応用面における現実性が薄まり、概念モデルの色彩が濃い。
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