座談会「流体力学の基礎教育」

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〔酒井〕:まさにおっしゃるとおりでして, 教養部が問題があったからつぶれたわけですけれども, 教養レベルの知識という, そういう枠組みがいけなかったわけではなくて, 教え方の問題だと思うんですね. 学生に興味を持たせられるような教え方ができなかった.
 例えば地球科学の学生が, 具体的なイメージもなくダイバージェンスとか, ローテーションとか, わけのわからない記号がいっぱい入った式変形に耐えられるかというと, まず耐えられないわけです. 流体でもなんでもいいんですけれど, もっと, 具体的な応用例でイメージを語ってくれないと, 多くの学生は興味が続かない.
 そのためには, 流体力学のような応用分野の先生方が, 教養レベルの数学や物理を教えてくれないといけない. でも皆さん, それは嫌がるわけです. 『教養』 を教える, というのは自分自身のステータスを下げるような気がするから.
 本当は, それが違うんですね. 『教養』 こそ一流の先生が教えなきゃいけない. コンプレックスもった先生の講義が面白いわけがないんです. そういう意識が変わらなければ, もともとあった 『教養問題』 は解決しない. 逆に, この意識改革ができれば, 教養部を解体しなくたって問題解決はできたはずだと思います.
 そういう根本的なことを解決せずに, 政治的な思惑で枠を取っ払っちゃったから, 余計わけがわからなくなったということなんですね.


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