座談会「流体力学の基礎教育」

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講義の内容と方法

カリキュラム
並びに
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実験

数値
シミュレーション

将来

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〔笠木〕:数学については, 大学が大衆化しまして, 学生の能力に分布が大きくなり, また学生諸君は, 受験のせいで数学にあまりいい思いをそもそも持ってないですね. 数学自身の持つおもしろさもあるでしょうし, 美しさもあるんでしょうが, とにかく答えが出て, 解ければいいので, なぜだろうということをあまり考えないで来ていますから, その辺は今の学生諸君に物足りないという気がいたします.
 我々機械系ですから, 工学部の中で格別深い数学的な素養を必要としている領域ではないかもしれません. しかし, 今後, 数学の力がさらに重要になるという気がします. 現象を, 巨視的に見るか, 微視的に見るかというのは我々の物の見方であって, これからの技術者はどっちも持たなくちゃいけないと思っているんですね. 微視的な世界についても, 例えば, 統計熱力学とか, 分子流体力学とか, そういうところも教えるようになりました. そうすると, ミクロなところの基礎方程式を与えると, コンピュータを使ってマクロの一部が再現できるようになる. しかし, それだけでは, とても現実世界のマクロ現象を捉えられない. そうすると, 連続体としての流体というマクロモデルを使わなくちゃいけない. そして, これによって, 細部にも目の届いた具体的なものづくりができるというような, そんな連携的な考え方になるんだと思うんです. この時, 計算機を使ってミクロからマクロ, あるいは CAE に持っていくというあたりで, 数学の素養というのは相当必要になってきていると思います. ですから, 我々のカリキュラムの再検討の中でも, 機械系の人間が数学を教えてはどうかという議論は何度も出るんです.


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