支配方程式と計算条件 (2) 回転系における対流のレジームの遷移と水平スケール:2次元数値計算 支配方程式と計算条件 (1) 結果 (1)

計算領域の大きさは, x 方向の長さを 8, z 方向の長さを 1 とする. 格子点間隔は,  Δxz =  0.1の場合と, Δxz =  0.025 の場合の計算を行ったが, 本論文では主に後者の場合の結果を示すことにする. 格子点数は, 321× 41 である. 本研究の目的のためには, エクマン層, 熱境界層が分解される必要がある. そのためには, (11), (12) が共に格子点間隔以下でなければならない. すなわち, Ta < 1.0×107, Ra < 3.5×106 を満たす必要がある.

図2 に数値実験を行ったパラメター Ra, Ta の範囲を示した. プラントル数 Pr はすべて1である. また, 線形不安定論による中立曲線とセルスケールが極大になる線を加えた.

図2. 計算パラメータの領域: o で示した位置の実験を行なった. 矩形は Sakai による実験の範囲. 左側の斜めの直線は, レイリー数一定のときに水平スケールが極大となる位置を 結んだもの. 右側の斜めの線は, 中立曲線である. scale_2.gif (8124 バイト)

運動量境界条件は, 上下壁とも粘着条件とする. なお, 上下の運動量境界条件を変えた場合について, Δxz = 0.1の格子を用いて実験を行なったが, その結果の特徴は補遺B に述べることにする. 温度については, 上端で T = 0, 下端で T = 1 と固定する. 左右の壁はスリップ条件, 断熱とする. 初期条件は,等温( T = 0 ) , 静止( u = v = w = 0)とし, 下端境界付近の中央位置に T = 1.1 の温度擾乱を加える.

方程式の差分化は Patankar7), 8) に従い, 保存則を考慮した有限体積法を用いる. 時間差分は陰解法を用い(ただしコリオリ項は陽に扱う), 圧力の算出にはSIMPLE法を用いる. 本計算では, イタレーション回数は10とした. 時間ステップは Δt = 0.1 で, 各実験とも t = 500 まで計算を行った.


支配方程式と計算条件 (2) 回転系における対流のレジームの遷移と水平スケール:2次元数値計算 支配方程式と計算条件 (1) 結果 (1)